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zoom RSS もしらば 明穂ルート「赤い糸」感想 前口上(長文+ネタばれ注意)

<<   作成日時 : 2007/11/25 17:21   >>

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 こんにちは。今、「花と泳ぐ」という4コマコミックに地味にハマっているmiyaという者です。

 すいません。明穂ルート第6章「赤い糸」の感想を書こうと思っていたら、その前置き程度の気軽なつもりで書いた第5章追加感想(ネタバレつき)が結構なボリュームになってしまいました。一緒に載せると全体の量が長くなるし、バランスも悪くなるので、前口上ということで先にこちらを公開したいと思います。↑に書いたようにネタばらしまくりなのでご注意のほどを。
 毎度同じ言い訳で心苦しいですが、「赤い糸」感想はもうしばらくお待ち下さい。ではでは。




1)ちょっと長めの前口上
 共通ルート感想でも触れましたが、第5章に至って、明るく能天気な幽霊少女である明穂の内面に変化が見られます。1つは成仏について意識するようになったこと。いや、第1章で一樹と再会したときから、明穂はいずれ自分は成仏しなければならないという自覚はありました。だから第1章のクライマックスで明穂は成仏しようとして――そして失敗します。
 しかし第5章では、若干事情が変わってきます。第4章で実という幽霊少年と知り合い、彼が成仏したことを知った明穂は悟ってしまいます。自分が本当は成仏などしたくないと思っている事実に。第1章のラストで明穂は一樹とつばさに「もう少しだけいさせてね」と言いますが、彼女の気持ちは第5章に入る頃には「少しでも長く、一樹のそばにいたい」というものに変わってしまっていたのです。

 もう1つの変化は、明穂が自分のタイムリミットに気づいてしまったこと。後に明穂自身が思い知らされるように、彼女は「夏の思い出」です。夏休みを――それも一樹の恋人として過ごすはずだった特別な夏休みを前にして死んでしまった明穂は、夏のまま時間が止まってしまった存在です(明穂の変わらない夏服姿はそのことを暗示しています)。夏の象徴である明穂にとって、季節が夏から秋に変わるということは、自分に残された時間があと僅かだということ、存在が消失するまでのタイムリミットが刻々と近づいてきているということです。

 ついでに言っておくと、(共通ルート感想ではちょっとぼかした言い方をしましたが)衣替えの前日という意味で、夏の最後の日といえる9月30日が、もしらば中唯一の暴走馬鹿話である第4.5章だったというのは結構キツい皮肉です。無修正ネタや明穂の乗り移り、性欲魔人と化した一樹の鬼畜ぶりや明穂の最後の「おだまりっ!」で散々笑わせた後、ラスト近くの一樹の独白、
「とある、夏の終わりの週末のことだった」

と、さりげなく触れるあたりが腹立つくらい上手いです。2週目に同じ台詞を見たときには、ゲラゲラ笑っていたのが急に現実に引き戻されたような感じでした。

 というわけで、第5章の明穂は「一樹といつまでもいっしょにいたい。でもそれは許されない」という二律背反に苦しむことになります。学園祭というみんなが楽しみにしているイベントで1人だけその輪から外れているという状況が、さらにそれに拍車をかけます。
「(千早に『輪の中に入りたいですか』と問われて)私だって、幽霊だものね」
「私は、カズちゃんの側にいられるだけでいいの」
「私は、何をしているのだろう?」
「もう、やるべきことが何もない」
「時間は流れる、季節は流れる」
「私一人を取り残し、流れすぎていく」」

 そんな明穂を、一樹は誠実に支え続けます(この章の一樹は明穂の言うとおり本当にかっこいいです)。いつ消えてしまうかわからない不安と恐怖に涙をこぼす明穂に、一樹は言います。
「一人にしてごめん」
「明穂が寂しいの、分かってたのに」
「僕は何も出来ないけどさ」
「明穂の側にいる。ずっと側にいる」
「どんな結果になっても、最後まで明穂と一緒にいる」

 そして2人は、ようやく恋人として結ばれます。

 ちょっと話はそれますが、いわゆる美少女ゲームというのは、その性質上、必然的にエロイベントがあるわけで。まあぶっちゃけて言ってしまえばノルマみたいなものです。そしてエロ重視の抜きゲーと比べて、恋愛要素の強い美少女ゲームの場合、このイベントシーンというものが意外とネックになります。まあ、いかにも純情可憐なヒロインが、イベントシーンでいきなり「もっと、もっと」と性欲全開になってしまっては百年の恋も瞬時にさめてしまうし、かといってあんまりおとなしすぎると「こんなイベントなら入れない方がよかった」と批判されてしまいます。
 正直、僕がこれまでにやった美少女ゲームの多くは、「エロ入れなくても普通に面白いのに」というものでした(だからその多くは、エロ抜きのコンシューマ版になっています)。
 もしらばが、より正確に言えば明穂ルートが上手いなと思うのは、2人がセックスをするまでの流れが非常に自然で、またセックスをする必然性があるということです。他の3人のルートはイベントがなくても成り立つシナリオですが、明穂ルートに関しては、恋愛と性愛を切り離すことはできません。辞典の方で「アニメ化反対」と喚いている僕ですが、そういう意味では仮にもしらばのコンシューマ版が出たとしても、あまり素直に喜べないのです。

 閑話休題。一樹に支えられながら、時に恋人として幸福なひと時を過ごしながら(明穂との休憩イベントは、あんまり普通の学園ものらしくて、逆に身に沁みました)、学園祭を乗り切る明穂ですが、やがて唐突に悟ってしまいます。
「私がいなくても、大丈夫?」
「助けてあげなくても、ちゃんと立てるよね?」
「二人だけでも…、生きていけるよね?」

 自分がいなくても、一樹もつばさも大丈夫――明穂がこの世に留まっているのはたくさんの未練を抱えているからで、その一番大きなものは「一樹のそばにいたい」でしょうが、第1章やつばさルートで言っていたように、「自分がいなくなった後、一樹とつばさがちゃんとやっていけるかどうか心配」というのももちろんあるわけです。
 自分がほとんど手を貸さなかったにもかかわらず、舞台で堂々と主役を演じる一樹とつばさを見て、明穂は諦観にも似た呟きを洩らします。
「…もう、いいよね?」
「いなくなっても、いいよね?」

 そしてクライマックス。校庭で流れるオクラホマミキサー(放送設備の関係からか、微妙に音が変なのがかえって物寂しくてよい)を聞きながら、屋上でただ2人、手をつないで踊る恋人たち。もしらば中屈指の名場面です。バックに流れる「雛鳥」がまた泣かせてくれます。
 そんな中、成仏の意志を一樹に告げる明穂。大好きな一樹に見守られながら旅立っていこうとするわけですが――
 成仏には失敗してしまいます。
「いかなくちゃ…、なのに…、知ってる、のにっ」
「私…、私…っ! いきたく、ないっ!」
 
画像


 この、屋上の場面で成仏しないという点では、他のヒロインルートも同じです(委員長エンド除く)。が、明穂ルートと他のヒロインルートでは、この場面の描き方に大きな違いがあります。
 他のルートでは明穂は成仏に失敗したわけではありません。明穂の成仏の意志は固く、ただ、大切な人である一樹の幸せを見届けるまで、一時的に延期しただけです。
 これに対し明穂ルートでの彼女は、一度は成仏を決意するものの、「一樹と一緒にいたい」という気持ちに負けて、それがお互いを不幸にすると分かっていながら自ら成仏を拒否してしまいます。
「このままじゃ、だめなのに…っ! 知ってるのにっ!」
「もっと…、もっとひどいことに、なるって、知ってて…っ!」
「わ、わたし、ずっと、一緒に、いたい…」
「カズちゃんの、側に…いたい…の」
「他には、なにも、いらない…」
「一分でも、一秒でも、いい…からっ!」

 一樹の幸せのために敢えて自分の気持ちを抑えて成仏を決心するサブヒロインルート。
 辛い結末を予感しながら自らの想いを選択してしまった明穂ルート。
 この違いはどこから来るのでしょうか。

 第1章のクライマックスを思い出してください。思い出の秘密基地で一樹に見守られながら成仏しようとして、なぜそれが果たせなかったか。それは、叶うとは思っていなかった「一樹とキスしたい」という願いが叶ってしまったからです。願いが叶ったことで、彼女の未練はなくなるどころか、かえって増えてしまいます。「もう少し、一樹と恋人でいたい」と。
 明穂を話の軸と考えた場合、第1章と第5章は構成がよく似ています。では、明穂ルート第5章での、第1章のキスにあたるような要素は何か。

 言うまでもありません。明穂と一樹の初体験です。

 元々心は強く結ばれていた2人ですが、肉体的にも結ばれることによって、さらにその結びつきが強くなる。だからこそクライマックスでお互い離れることができなかったのだと僕は考えます(あの場面では一樹が明穂の手を握ったまま放さなかったり、その後お互い固く抱擁したりと、放さない=離れたくないという演出が効果的でした)。逆に言うと他のルートで明穂の成仏の決意が揺るがなかったのは、それが他のヒロインルートだからというのではなく、セックスをしなかったことによって、2人の恋人としての結びつきが明穂ルートほどには強くならなかったからではないでしょうか。

 誤解のないように書いておきますが、明穂と一樹のセックスは、決して快楽のみを目的としているわけではありません。これは明穂に限らず他のヒロインの場合もそうで、何回かあるイベントは肉欲というよりも精神的なつながりを求めて行われています(まあ一部そうじゃないのもありますが)。そんな中でも、明穂と一樹のイベントはまた格別の意味を持っています。
 幽霊と人間という立場の違いから、本来は互いに触れることのできない2人がなぜ相手に触ることができるか。それは2人の気持ちが通じ合っているからだと第1章で珠美は言います。2人にとってセックスとは、単に快楽を得るための手段ではなく、互いの気持ちが通じ合っていることを確かめ合う手立てでもあるのです。
「平気…みたい」
「うん…、ちゃんと、触れる」

 初体験の場面で、2人がまず行ったのは、キスをすることでお互いに触れ合うことができるか確認することでした。その後も一気に本番にいくというのではなく、少しずつ相手の温もり、肌の感触を確かめ合いながら、相手の想い、相手への想いを受け止め、伝えようとしているところに注目してほしいと思います。
「カズちゃん…、私…」
「もっと…、したい…」
「カズちゃんが、嫌じゃないなら…」
「私みたいな…、幽霊でも…いいなら…」
「ずっと…、カズちゃんに、触れていて欲しい…」

 たまに「もしらばのエロシーンはあんまり実用的ではない」という批評を見ますが、残念ながら、少なくとも明穂ルートのイベントシーンはそういう方向で作られてはいないのです。

 しかし、そうした明穂と一樹の結びつきの強さが、結果的に、本来そうすべきであった明穂の成仏を妨げてしまったとしたら、では、この後2人はどうすべきなのでしょうか。常識的にに考えれば、予想される結末としては、

A やっぱり成仏して、他のヒロインルートのように一樹とはバイバイという悲しいエンド。
B 最後まで一樹の側にいて、最終的には消失してしまう悲劇的エンド。

のどちらかですね。どっちに転んでもハッピーエンドにはなりようがありません。2人が果たしてどのような答えを出すか。第6章「赤い糸」は、愛し合う2人がその答えを探し求める物語とも言えます。



………長ぇよ。
 第6章の感想といいながら、前置きだけでこんなに長くていいのでしょうか。でも↑のことはどうしても書いておきたかったんです。第6章の内容にも関わってくることだから。特に明穂ルートにおけるイベントの意味とかはね。美少女ゲームはいろいろやりましたが、イベントシーンで泣かされそうになったのは、後にも先にもこれだけです。この後でも触れると思いますが、明穂と一樹のセックスは、やらしいとかなんとか言う前に、見てて本当に切ない。2人がどんな思いでお互いを求め合っているか考えるとそれだけで泣けてきてしまいます。

  

 ↑が、当初第6章の前口上として書いた駄文です。ネタバレを解禁すると感想がこんなになってしまうものだということがよくわかりました。これでも随分削ったんですけどね。とにかく、あんまりあれもこれも書くのは自重したいと思うのですが、なにしろ語ることが多すぎるので、この後もどうなることやら、です。そんなわけで今回はこの辺で。





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